Story
カイ・リングフェルト・ラーセン(Kai Lyngfeldt Larsen, 1920–1976)は、デンマークを代表する家具デザイナーのひとりであり、スカンジナビア・モダンの理念を体現した存在として高く評価されています。彼の作品は、職人技と芸術性、そして産業的合理性を融合させた中庸の美学に貫かれています。
1946年に自身のスタジオを設立して以降、1950年代から1960年代にかけて多くの家具作品を発表しました。彼のデザインは有機的なフォルムと直線的構成を巧みに融合し、硬質なラインの中にも温かみと柔らかさを感じさせます。チークやローズウッドを用いた家具は、素材の質感を最大限に活かしながらも、無駄を排した構造的美しさを示しています。
1957年のミラノ・トリエンナーレでのグランプリ受賞、翌年のブリュッセル国際博覧会での金賞受賞など、国際的評価も非常に高く、デンマークデザインが世界的潮流となる中で重要な役割を果たしました。これらの受賞は、北欧の地域的表現に留まらない普遍的デザインとしての価値を証明するものでした。
ラーセンはまた、家具以外の分野にも創造性を発揮し、テキスタイルや照明器具、インテリアアクセサリーなど多様な領域で活動しました。その総合的なデザインアプローチは、生活全体の調和を目指したデンマーク・モダンの理念と深く共鳴しています。
彼の作品は、今日においてもニューヨーク近代美術館(MoMA)やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)などのパーマネントコレクションに収蔵されており、デザイン史における不朽の位置を占めています。
About
Year: 1920–1976
Place: Copenhagen(コペンハーゲン)
Manufacturer: Søborg Møbler(ソボー・モブラー)、Søren Willadsen(ソーレン・ヴィラッセン)、Vejen Polstermøbelfabrik
Designer: Kai Lyngfeldt Larsen(カイ・リングフェルト・ラーセン)
History
1946: 自身のデザインスタジオを設立し、家具デザイナーとしての活動を本格化。
1950: チーク材を用いた初期のダイニングチェアシリーズを発表。
1955: Søren Willadsen社との協働により、代表的なラウンジチェアを制作。
1957: ミラノ・トリエンナーレにてグランプリ受賞。
1958: ブリュッセル国際博覧会にて金メダル受賞。
1960: Søborg Møbler社と協働し、キャビネットやサイドボードシリーズを展開。
1963: 有機的フォルムと直線的構造を融合したアームチェアを発表。
1965: Vejen Polstermøbelfabrikとの共同制作でサファリチェアを開発。
1970: デンマーク国内の住宅建築との協働プロジェクトを開始。
1976: コペンハーゲンにて逝去。
Furniture
・Dining Chair | ダイニングチェア(Søren Willadsen)
・Arm Chair | アームチェア(Rosewood Frame)
・Safari Chair | サファリチェア
・Sideboard | サイドボード(Søborg Møbler)
・Cabinet | キャビネット
・Lounge Chair | ラウンジチェア
・Coffee Table | コーヒーテーブル
・Desk | デスク
・Bookcase | ブックケース
・Wall Unit | ウォールユニット