Story
ルードヴィグ・ポントピダンは、デンマーク・モダン黄金期を代表するキャビネットメーカーであり、工房は著名デザイナーたちのビジョンを具現化する舞台として大きな役割を果たしました。彼の工房は、コペンハーゲン家具職人ギルド展を中心とした展示活動を通じて、デンマークのデザイン運動の最前線に位置していました。
彼の名前は国際的な評価において必ずしも広く知られていませんが、ナナ・ディッツェルの「バスケットチェア」、トーヴェ&エドヴァルド・キント・ラーセンの「プリズマソファ」、フィン・ユールやボーエ・モーエンセンの作品など、多くの象徴的な家具を支えた陰の立役者でした。
工房は厳格な職人技と高品質な素材選びで知られ、チーク、ローズウッド、マホガニーといった銘木を駆使した家具を製作しました。ソファやバーカート、サービングトロリーなど独自デザインの作品も残しており、その完成度は協業作と並んで高く評価されています。
ポントピダンはまた、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催された「The Arts of Denmark」展(1960年)への参加を通じて、国際的な舞台においてもデンマークのクラフトマンシップを示しました。今日、彼の工房による家具はオークション市場で高い評価を受けており、デザイン史における重要な存在として再評価されています。
About
Year:1899頃 – 1965
President:Ludvig Pontoppidan
Designer:Finn Juhl(フィン・ユール)、Børge Mogensen(ボーエ・モーエンセン)、Nanna Ditzel(ナナ・ディッツェル)、Tove & Edvard Kindt-Larsen(トーヴェ&エドヴァルド・キント・ラーセン)、Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen(ピーター・ヴィッツ&オーラ・モルゴー・ニールセン)、Ejner Larsen & Aksel Bender Madsen(アイナー・ラーセン&アクセル・ベンダー・マッセン)、Ejvind Johansson(アイヴィン・ヨハンソン)
Place:コペンハーゲン
History
1899頃:ルードヴィグ・ポントピダン誕生(生没年は1899頃~1965年とするのが妥当とされる)
1920年代:家具職人ギルドの徒弟制度にて木工を学ぶ
1930年代:コペンハーゲンにて独立工房を設立
1941:家具職人ギルド展に初参加、後の代表作につながるモデルを発表
1945:戦後の復興期に工房規模を拡大
1948:フィン・ユールとの協業を開始、実験的な彫刻的家具を製作
1950:ボーエ・モーエンセンとの協業によるテーブルをギルド展に出展
1950:ナナ&ヨーエン・ディッツェルの椅子を製作、技術力を広く示す
1950:ナナ・ディッツェル「バスケットチェア」を製作、複雑な籐編みを実現
1952:フィン・ユール「ポエットソファ」などを製作、柔らかな曲線を木工で具現化
1954:ピーター・ヴィッツ&オーラ・モルゴー・ニールセンとデスク製作
1956:自らのソファデザインを発表、緩やかなカーブと張地の快適性で評価される
1958:ギルド展で「シガーボックス」を出展
1960:「タバコキャビネット」を発表、ブラジリアンローズウッドを採用
1960:「The Arts of Denmark」展に参加、ニューヨークのメトロポリタン美術館で展示
1963:トーヴェ&エドヴァルド・キント・ラーセン「プリズマソファ」を製作
1963:Ejner Larsen & Aksel Bender Madsenのラウンジチェアを製作
1964:Ejvind Johanssonの3人掛けソファを製作
1965:ルードヴィグ・ポントピダン死去、工房活動は縮小へ
1970年代以降:作品が再評価され、オークション市場に登場
2000年代:北欧モダンの再評価の中で国際的に知名度が上昇
2020年代:ポントピダン工房の作品が高額で取引され、再評価が定着
Furniture
・Basket Chair | バスケットチェア
・Prisma Sofa | プリズマソファ
・Poet Sofa | ポエットソファ
・Cigar Box Cabinet | シガーボックスキャビネット
・Tobacco Cabinet | タバコキャビネット
・Serving Trolley
・Bar Cart
・Executive Desk
・Lounge Chair
・Stool
・3-Seater Sofa
・Coffee Table
・Sewing Nest
Imprint/Label
・裏面や棚板裏に「København L. Pontoppidan Danmark」と記されたデカールを使用
・作品によりスタンプや刻印も存在し、真正性の重要な証拠となる
・デザイナーとの協業作では「Designed by 〇〇 for Ludvig Pontoppidan」と表記される場合もある
・紙ラベルは経年変化で失われることが多いため、残存例は希少