About
Designer: Børge Mogensen(ボーエ・モーエンセン)
Manufacturer: Søborg Møbelfabrik(ソボー・モブラー)
Year: 1950
Material: Teak, Oak, Beech, Steel, Brass
Size: W145 × D72 × H73 cm
Story
ボーエ・モーエンセンがソボー・モブラーのためにデザインしたデスクは、デンマーク機能主義の成熟を象徴する家具として知られています。彼のデザイン哲学は、人体寸法と生活行動の分析に基づく合理性にあり、家具を「人々の生活に奉仕する道具」として捉えていました。このデスクにもその理念が息づいています。
モーエンセンはFDBモブラー時代に「ピープルズ・デザイナー」として民主的デザインを確立し、ソボー・モブラーとの協業によってその思想を職人技の水準まで高めました。ソボー・モブラーは1890年創業の老舗工房で、高精度な接合と木工技術によりデンマークモダンを支えた存在です。この工房の技術が、モーエンセンの構造的明快さと素材への誠実さを具現化しました。
代表的なモデルには、無垢材を用いたModel 132や、異素材の調和を探求したModel 130、そしてスチール脚による軽快なModel 202が挙げられます。特にModel 130は、チークとビーチを組み合わせた構成が特徴で、天板には高級感のあるチーク突板を、構造部には堅牢なビーチ材を用いています。取手や脚先に見られる彫刻的な意匠は、触感と美の両面で機能するモーエンセン独自の要素です。
さらに、1953年のModel 202ではスチールフレームとチーク材の融合により、モダンな軽やかさを実現しました。これは木材中心のデンマーク家具に新たな方向性をもたらした革新的試みであり、ソボー・モブラーの精緻な技術なくしては成立し得ないものでした。
ソボー・モブラーは2017年にその歴史を閉じましたが、モーエンセンのデスク群は今なお世界各地のコレクターと美術館で高く評価されています。木と金属の調和、構造の誠実さ、そして機能的理想の追求。そのすべてが、このデスクに結晶しています。