Model 162 Table | テーブル


About

Designer: Børge Mogensen(ボーエ・モーエンセン)
Manufacturer: Søborg Møbler(ソボー・モブラー)
Year: 1953
Material: Teak, Oak, Steel
Size: W140–240 × D88–90 × H71–73 cm


Story

Model 162 Tableは、ボーエ・モーエンセンが1953年にデザインし、ソボー・モブラーによって製造された機能主義の象徴的作品です。デンマーク・モダンデザインの黄金期に生まれた本作は、素材、構造、機能の調和を追求した精緻なプロダクトとして位置づけられます。

戦後のデンマークでは、中間層の拡大に伴い、手の届く価格で高品質な家具を求める声が高まりました。モーエンセンはこの社会的要請に応えるべく、日常生活を支える堅実な家具を提案し続けました。本作はその流れの中で生まれ、家族が多様な活動を共有する「This is Where We Live」のコンセプトを体現するものとして設計されました。伸長式の天板構造は、日常から来客時まで柔軟に対応できる合理的なデザイン思想の結晶です。

天板には深みのあるチーク材、脚部には堅牢なオーク材が用いられ、中央構造にはスチールが採用されています。木の温もりと金属の精密さを融合させることで、軽快でありながら安定感のある造形が実現されています。このスチールフレームは、モーエンセンとソボー・モブラーが1950年代初頭に共同で探求した「木と金属の対話」の成果であり、先行するソボー・チェア(1952年)での素材実験の延長線上に位置します。

伸長板は2枚付属し、取り外しによって140cmから240cmまでサイズを変化させることができます。加えてノックダウン式構造により、輸送や設置も容易であり、都市生活者の実用的ニーズに応える設計となっています。脚部の配置はアームチェアにも干渉せず、快適な着座空間を確保するなど、細部にわたる人間工学的配慮が見て取れます。

このテーブルは、モーエンセンの中核的なデザイン理念——人間中心の機能主義——と、彼の短くも重要な素材実験期とを結ぶ橋渡し的存在です。木とスチールの融合による対話的な造形は、今日においてもデンマーク家具の進化を象徴する重要な一例とされています。

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