Model 201 Chair | チェア


About

Designer: Børge Mogensen(ボーエ・モーエンセン)
Manufacturer: Søborg Møbler(ソボー・モブラー)
Year: 1952
Material: Oak, Teak, Steel, Plywood
Size: W48 × D49 × H79 × SH45 cm


Story

Model 201 Chairは、ボーエ・モーエンセンが1952年にソボー・モブラーのためにデザインした、デンマーク・モダンの転換点を象徴する作品です。彼がFDBを離れ、独立した直後に設計されたこの椅子は、機能主義と工業化の調和を追求する過程で生まれました。伝統的な無垢材のフレームと、成形合板による背座という異素材の融合は、モーエンセンが新しい時代の家具製造に向けて取り組んだ重要な実験の成果といえます。

この椅子は、1950年に発表されたプロトタイプ「Søborg Chair」を発展させた初期モデルであり、後のFredericia Furnitureによる量産型ソボーグ・チェアの原型を形成しました。興味深いのは、同じ「Model 201」の品番が1955年のFredericia製ソファにも用いられている点です。この事実は、モーエンセンが製造パートナーをソボー・モブラーからフレデリシアへと移行させた時期に、デザイン体系の連続性を意図的に維持したことを示唆しています。

構造面では、オークのフレームに加えて、スチール脚を採用した希少なバリエーションも存在します。この異例の設計は、モーエンセンが国際的なモダニズムの潮流を意識し、軽量化と素材革新を模索した一時的な試みでした。その後、彼は再び堅牢な木脚構造に回帰し、木材の温かみと耐久性を重視する設計哲学を確立しました。

成形合板の背座は、人体に自然に沿う柔らかな曲線を形成し、モーエンセンが提唱した「人間に奉仕する家具」という理念を具体化しています。座面はやや広く設定され、ファブリックやレザーによる張り仕様と組み合わせることで、日常的な快適性を実現しました。この合理的かつ誠実な構造は、今日のサステナブルな設計思想にも通じる普遍的価値を有しています。

現代では、Fredericia Furnitureがこの椅子のデザインを継承し、ソボーグ・チェアシリーズとして再生産を行っています。オリジナルの精神を踏襲しながら、より洗練された木工技術と張り地の選択肢を備え、モーエンセンの「人間中心のデザイン」が現代の空間にも生き続けています。

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