Model149 Extendable Side Table | サイドテーブル


About

Designer: Børge Mogensen(ボーエ・モーエンセン)
Manufacturer: Søborg Møbelfabrik(ソボー・モブラー)
Year: 1953
Material: Teak, Beech, Brass
Size: W66–96 × D48–66 × H59–61 cm


Story

ボーエ・モーエンセンが1953年にデザインし、ソボー・モブラーによって製造されたエクステンダブル・サイドテーブルは、デンマーク・モダンの精神を体現する代表的な作品です。拡張機構を備えた天板や素材の誠実な使用、そして静かな均整美をもつ造形は、戦後デンマークの住宅事情に適応した合理的な生活思想を象徴しています。

モーエンセンがFDB Møblerで培った「デモクラティック・デザイン」の理念は、本作にも受け継がれています。彼の信条である「構造の誠実さ」は、装飾を排して構造そのものをデザインとして提示するという考え方に現れています。真鍮の蝶番を意図的に露出させた天板の「フリップトップ」機構はその好例であり、構造的要素を美的要素として昇華させています。

この拡張機構は、片側の天板をスライドさせることで開閉し、用途に応じてテーブルのサイズを柔軟に変化させることができます。閉じた状態ではソファ横に、広げた状態では軽作業やティーテーブルとして機能し、わずかに異なる高さ設計には人間工学的配慮が感じられます。

素材には無垢のチーク材を主体とし、脚部や内部構造にはビーチ材を組み合わせています。棚板や引き出しなど細部にまで行き届いた職人技が見られ、経年とともに深みを増す色調は、ソボー・モブラー特有の高い木工精度を物語っています。

エクステンダブル・サイドテーブルは、社会的使命を帯びた機能主義と、工房の熟練した職人技の融合によって生まれた一脚です。モーエンセンの人間中心の設計思想と、ソボー・モブラーの工芸的伝統が交わることで、時代を超えて愛され続ける普遍的な美を備えています。

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