About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Andreas Tuck(アンドレアス・ツック)
Year: 1952
Material: Teak, Oak, Rosewood
Size: W71 × D45.5 × H52 cm
Story
AT17B ネスティングテーブルは、ハンス・J・ウェグナーがアンドレアス・ツックのためにデザインした作品で、1950年代デンマーク・モダンを象徴する一例です。ウェグナーは「有機的機能性」という理念を掲げ、家具において機能と美の融合を追求しました。このテーブルもまた、その思想を具現化した存在です。
AT17Bの大きな特徴は、直線的で細身の脚部と簡潔な構造にあります。ウェグナーは装飾を排したシンプルな意匠を選び、素材感と職人技を際立たせました。接合には伝統的なほぞ継ぎが用いられ、構造そのものを美として提示しています。
素材はチーク、オーク、パリサンダーが用いられ、いずれも上質な天然木です。これらの材は使い込むほどに味わいを増し、経年変化によって独自の表情を見せる点でも魅力があります。
最大の機能的特徴は「ネスティング構造」です。3台のテーブルは段階的にサイズを変えて設計され、使用しないときは一つに収め、必要な場面では個別に展開できます。この合理的な仕組みによって、限られた住空間を効率的に活かすことができ、さらに重ねられた状態自体が美しいオブジェのように見える点も評価されています。
アンドレアス・ツック工房による精緻な製作とウェグナーの思想が結晶したAT17Bは、今日においてもデンマーク・モダンデザインの重要な証言として高く評価され続けています。
