Story
Oddense Maskinsnedkeriは、デンマークの地方都市オッデンスに拠点を構えた工房であり、その名が示す通り「機械木工所」として出発しました。首都コペンハーゲンのギルド制中心の流れとは異なり、地方に点在する家具生産ネットワークの一角を担った点に特徴があります。
その歴史において最も重要な意味を持つのは、デザイナーのエリック・バックとの協業でした。工房自体に創設者の名や独自哲学はほとんど記録されていませんが、バックのデザインを量産化することで、その存在感を確立しました。彼らの役割は、デンマークモダンを象徴する「デザイナーと職人の共生関係」の典型であり、外部デザイナーの理念を具現化する「器」として機能したのです。
1960年代後半には「O.D. Møbler」と社名を変更し、より消費者に向けたブランドとしての姿勢を強めました。これは、デンマーク家具業界全体が国際市場に進出し、品質保証とブランド価値を重視する流れと軌を一にしています。実際、同社の製品には「Danish Furnituremakers’ Control」のラベルが付与されており、国家的な品質基準を満たす存在としてデンマークデザインの信頼性を支えました。
代表作である「モデル49チェア」と「モデル61スツール」は、バックの師フィン・ユールの思想を背景にした「浮遊する座面」や有機的なラインを特徴とし、デンマークモダンの核心を映し出します。特にモデル61は今日もなお生産が続けられており、時代を超える普遍的な価値を示しています。
About
Year:1960年代後半にO.D. Møblerへ改称、以後継続
President:不詳
Designer:Erik Buch(エリック・バック)
Place:Oddense
History
1949:エリック・バックがモデル49チェアをデザイン、Povl Dinesen工房にて試作
1957:モデル49チェアがコペンハーゲン家具職人ギルド展に出品される
1960年代:Oddense Maskinsnedkeriがモデル49の生産を担当、「OD 49」として展開
1961:モデル61スツールを発表、商業的成功を収める
1960年代後半:社名をO.D. Møblerに改称、国際市場に向けたブランド戦略を強化
1968:カタログ『Domus Danica』にモデル49が掲載される
1970年代:椅子やスツールに加え、デスクやキャビネットなどの生産を拡大
1970年代:Danish Furnituremakers’ Controlのラベルを付与された製品が流通
1980年代以降:モデル61スツールを中心にデンマークデザインの代表的作品として定着
Furniture
・Model 49 Chair | モデル49チェア
・Model 50 Armchair | モデル50アームチェア
・Model 61 Stool | モデル61スツール
・Desks
・Credenzas
・Dressers
・Side Tables