Ole Wanscher | オーレ・ヴァンシャー


About|基本情報

Lifespan: 1903–1985
Birthplace: Frederiksberg(フレゼレクスベア、デンマーク)
Manufacturers: A.J. Iversen(A.J. イヴェルセン)P. Jeppesen(P. イェペセン)France & Daverkosen / France & Søn(フランス&ダヴェルコーセン/フランス&サン)Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)ほか


Story|人物とデザイン

オーレ・ヴァンシャー(Ole Wanscher, 1903–1985)は、家具デザイナー、建築家、教育者、家具史研究者として活動した人物である。フレゼレクスベアに、美術史家Vilhelm Wanscherと画家Laura Baagøe Zeuthenの子として生まれた。父の研究環境から美術史への関心を育み、家具を同時代の造形としてだけでなく、長い歴史の連続の中で考える姿勢を形成した。

技術学校を経て王立美術アカデミー建築学校で学び、1925年から1927年にかけてKaare Klint(コーア・クリント)の事務所で働いた。クリントから、歴史的家具の実測と分析、人体寸法、用途に即した構成、素材と構造を合理的に扱う方法を学んだ。1920年代後半に独立し、家具設計を活動の中心とした。

ヴァンシャーは古代エジプト、ギリシャ、中国、18世紀英国など各時代・地域の家具を研究し、その構造原理を現代家具へ読み替えた。過去の様式を装飾として引用するのではなく、脚、貫、座、背といった要素の関係を整理し直し、細身の部材と明確な構造によって軽やかな家具を構成した。Colonial ChairやEgyptian Stoolは、この家具史研究と設計実践の結びつきを示す作品である。

製作面では、1930年代から家具職人A.J. Iversenと継続的に協働し、キャビネットメーカーズ・ギルド展などで家具を発表した。ローズウッドやマホガニーなどの良材を用い、細いフレーム、精密な接合、革や籐などを組み合わせた家具を制作した。一方、戦後にはP. Jeppesenなどのメーカーと協働し、工房家具の考え方を品質の高い量産家具へ展開した。

教育と著述もヴァンシャーの活動の重要な部分である。1931–1936年にはKunsthåndværkerskolenで家具製図を教え、1955年にはクリントの後を継いで王立美術アカデミーの教授となり、1973年まで教育に携わった。『Møbeltyper』(1932)、『Møbelkunstens Historie i Oversigt』(1941)、『Møblets æstetik』(1985)などを著し、家具史と設計を結びつける研究を続けた。デザイン、製作、教育、歴史研究を一つの体系として扱ったことが、ヴァンシャーの仕事を理解するうえで重要である。


History & Works|歴史と作品

1903(0歳)

9月16日、Frederiksberg(フレゼレクスベア)に生まれた。父は美術史家Vilhelm Wanscher、母は画家Laura Baagøe Zeuthen。

1924(21歳)

デンマーク国立博物館によるVitskøl Klosterの実測・調査に参加。王立美術アカデミー建築学校でも学んだ。

1925–1927

Kaare Klintの事務所に勤務。歴史的家具の研究、寸法分析、家具設計の方法を学んだ。

1920年代後半

独立して家具設計を専門とする事務所を開いた。

1931–1936

Kunsthåndværkerskolenで家具製図を教えた。

1932(29歳)

家具の類型を扱った著書『Møbeltyper』を刊行した。

1930–40年代

家具職人A.J. Iversenとの協働を続け、工房家具を多数設計。古代家具、英国家具、東洋の家具などの研究を設計へ反映した。

1941(38歳)

『Møbelkunstens Historie i Oversigt』を刊行。家具史研究を体系的にまとめた。

1949(46歳)

Colonial Chairを設計。細身の木製フレームと革・籐を組み合わせた構成に、歴史的家具研究の成果が表れている。

1950年代

P. Jeppesenとの協働を本格化。工房家具で培った構造と素材への考え方を、品質の高い量産家具へ展開した。France & Daverkosenなどにも家具を設計した。

1955(52歳)

Kaare Klintの後を継ぎ、王立美術アカデミーの教授に就任。家具と室内設計の教育を担った。

1960(57歳)

ミラノ・トリエンナーレで金賞を受賞。古代の折り畳み椅子を研究したEgyptian Stoolもこの時期の代表作の一つである。

1973(70歳)

王立美術アカデミー教授を退任。

1980(77歳)

古代から続く折り畳み椅子の文化史を研究した『Sella curulis: The Folding Stool, an Ancient Symbol of Dignity』を刊行した。

1985(82歳)

『Møblets æstetik』を刊行。同年12月27日、Charlottenlund(シャルロッテンルンド)で逝去した。


Furniture|作品一覧

PJ149 Colonial Chair|コロニアルチェア

OW149-2 Colonial Sofa|コロニアルソファ

OW149F Colonial Footstool|コロニアルフットスツール

OW449 Colonial Coffee Table|コロニアルコーヒーテーブル

Egyptian Stool|エジプシャンスツール

Senator Chair|セネターチェア

Senator Sofa|セネターソファ

Rungstedlund Series|ルングステッドルンド・シリーズ

France & Daverkosen Easy Chair|イージーチェア


References|参考文献・資料

Dansk Biografisk Leksikon / Lex, “Ole Wanscher.”
Weilbachs Kunstnerleksikon / Lex, “Ole Wanscher.”
Carl Hansen & Søn, Ole Wanscher designer profile and product archive.
Ole Wanscher, Møbeltyper, 1932.
Ole Wanscher, Møbelkunstens Historie i Oversigt, 1941.
Ole Wanscher, Sella curulis: The Folding Stool, an Ancient Symbol of Dignity, 1980.
Ole Wanscher, Møblets æstetik, 1985.

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