PK27 Easy Chair | イージーチェア


About

Designer: Poul Kjærholm(ポール・ケアホルム)
Manufacturer: E. Kold Christensen(E. コールド・クリステンセン) / PP Møbler(PPモブラー)
Year: 1971
Material: Plywood, Maple, Suede leather
Size: W70-73 × D65-71 × H70-73 cm / SH25-34 cm


Story

ポール・ケアホルムが1971年に発表したPK27は、彼のキャリアにおいて特異な位置を占めるイージーチェアです。金属を中心にした作品群で知られる彼が、あえて木材に立ち返り、その弾性や温かみを追求したことにより誕生しました。木工職人としての素養を持ちながらもスチールを愛したケアホルムにとって、この作品は素材の本質を改めて見つめ直した転換点といえます。

PK27の最大の特徴は、積層合板のシェルとフレームをゴム製ショックマウントで接続する構造にあります。この構造は、硬質素材の緊張感と柔らかな座り心地を見事に両立させ、彼が重視した「構造的明晰さ」を象徴的に示しています。

外装にはメープル材の美しい突板が用いられ、座面と背もたれにはスエードまたはカモシカ革のクッションが施されています。幾何学的なラインに沿った十字のステッチは、精密さと人間的な温もりを融合させるケアホルムの哲学を体現しています。革の自然な経年変化も、この椅子の魅力を深める重要な要素となっています。

E. コールド・クリステンセン社により短期間だけ製造されたこの椅子は、現在では希少なコレクターズアイテムです。のちにPPモブラー社によって復刻されましたが、初期版のオリジナルは特に高い価値を持ちます。製造期間や使用材の違いは、鑑定や評価における重要な手がかりです。

PK27は、1972年にIDプライズを受賞するなど当時から高く評価されました。単なる椅子を超えて「空間を定義する建築的要素」として設計されたこの作品は、日本的な「余白の美」とも深く響き合い、世界中のデザイン愛好家を魅了し続けています。

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