Story
Rolschau Møbler(ロルシャウ・モブラー)は、デンマーク・モダンデザイン黄金期において、国際的にはあまり知られていないものの、熟練の職人技とデザイナーとの緊密な協業によって重要な役割を果たした工房です。1950年代から1970年代にかけて、ヴァイエン(Vejen)を拠点に活動し、特に布張りや革張りを伴う椅子やソファの製作において高い評価を得ました。
工房の中心人物であるHenry Rolschauは「マスターキャビネットメーカー」として知られ、堅牢な構造と上質な素材を駆使した家具を生み出しました。木工だけでなく張り地技術に優れていた点がRolschauの特色であり、Kurt Østervig(クルト・ウスタヴィ)をはじめとするデザイナーにとって理想的な製作パートナーとなりました。
特にØstervigとの協業はRolschauの歴史を定義づける要素であり、モデル57Aやモデル61といった名作を生み出しました。彫刻的な木工と快適な座り心地を兼ね備えた家具は、今日でも美術館級の評価を受け、収集家の間で高く評価されています。Rolschauの家具には一貫したブランドラベルが存在しないため、作品の真贋はフォルムや素材、歴史的資料との照合によって判断されますが、それ自体がコレクターにとって魅力的な挑戦となっています。
この工房は、大量生産ではなく限定的で質の高い生産を行うことで、デンマーク家具の多様性と奥行きを支えました。その静かな貢献は、デザイン史における小規模工房の重要性を象徴しています。
About
Year:1950–1970年代半ば
President:Henry Rolschau
Designer:Kurt Østervig(クルト・ウスタヴィ)、Svend Ellekær(スヴェン・エレケア)
Place:Vejen(ヴァイエン、デンマーク)
History
1950: Henry RolschauがVejenに工房を設立。
1953: デザイナーKurt Østervigと協業を開始。
1958: モデル57/57Aラウンジチェアを発表。フレゼリシアの展示会や『God Form』カタログに掲載され高評価を得る。
1960: モデル58シリーズを製作。彫刻的なアームレストが特徴。
1960年代: モデル61アームチェアおよびソファを発表し商業的成功を収める。
1960年代後半: Svend Ellekærとの協業によるソファを製作。
1970年代: 高品質なチークやローズウッドを用いた家具を製造。活動のピークを迎える。
1970年代半ば: 工房活動が縮小し、製造数は限定的となる。
1980年代以降: Rolschau作品は収集家市場で再評価が進む。
2000年代: オークションや専門店での取引が増加。モデル57Aが美術館級の価値を持つとされる。
2010年代: デザイン史研究において小規模工房の重要性が再認識され、Rolschauも取り上げられる。
2020年代: 主要モデルが国際的なヴィンテージ市場で高額取引されるようになる。
Furniture
・Model 61 Armchair
・Model 61 Sofa
・Model 57/57A Lounge Chair
・Model 58 Armchair
・Model 58 Sofa
・High Wing-Back Chairs