Sofa GE-236 | ソファ


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: GETAMA(ゲタマ)
Year: 1955
Material: Oak, Teak, Walnut, Afromosia, Fabric, Leather, Coil spring cushions
Size: 3-seater W206–215 × D77–85 × H75–82 cm / SH39–43 cm, 4-seater W235–273 × D80–84 × H78–80 cm / SH40–41 cm


Story

GE236ソファは、1950年代のデンマーク・モダン黄金期に誕生したウェグナーの代表的ソファのひとつであり、「均衡のデザイン」と称される傑作です。彫刻的なフレーム構造、人間工学に基づいた快適性、そして耐久性に優れた構造を持ち合わせ、単なる家具を超えた「生活哲学の象徴」として高く評価されています。

 

デザインは1954〜55年頃とされ、ベアチェアやチャイナチェアといった名作と同時期に生まれました。背面に見せるための水平貫と後傾した支柱は、このソファを壁際ではなく空間の中央に置くべき存在として位置づけています。美しい後姿はリビングを構成する建築的要素となり、オープンプランの住空間における新しいライフスタイルを示しました。

 

フレームはオーク材が多く用いられましたが、チーク、ウォールナット、アフロモシアといった多彩な樹種も使用されました。内部構造の特徴は、ゲタマ社の歴史と直結しています。同社はマットレスメーカーとして発展してきた背景を持ち、ソファのクッションには独自のコイルスプリングが組み込まれました。このスプリング構造は、一般的なウレタンフォームのみのソファとは異なり、張りのある弾力と快適な座り心地をもたらしました。

 

また、アームやクッションが取り外し可能なモジュール構造を採用しており、修理や張り替えが容易に行える点も特筆すべき設計です。この「メンテナンスのためのデザイン」という思想は、今日のサステナブルデザインに先駆けるものと言えます。

バリエーションとしては、3人掛けのGE236/3、4人掛けのGE236/4が存在し、後者は中央脚を持つ6本脚仕様で識別できます。希少ながら2人掛けモデルも確認されています。GE236は同時期のGE290と比較されることが多く、より浅い座面傾斜により多目的な快適性を提供し、会話や読書に適した設計となっています。

 

ヴィンテージのGE236は「GETAMA / GEDSTED / DENMARK / DESIGN HANS J. WEGNER」の刻印で確認でき、状態や材質によって価格は大きく変動します。木部の保存状態が特に重視され、適切な張り替えを経た個体も高く評価されます。日常の手入れや定期的なオイリングによって価値を保ち、修理を前提とした構造により、世代を超えて愛用できる持続可能な家具として受け継がれてきました。

 

GE236は、彫刻的フォルム、人間工学、素材の誠実さ、そして長期的な耐久性が完璧に均衡した存在です。それはデンマークの理念である「hygge」を体現し、今日においても豊かな暮らしを支える象徴的なソファといえるでしょう。

 

PAGE TOP