PP135 Hammock Chair | ハンモックチェア


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: GETAMA(ゲタマ)PP Møbler(PPモブラー)
Year: 1967
Material: Oak, Ash, Flag line, Metal, Fabric
Size: W75 × D182 × H71 cm / SH53 cm


Story

ハンモックチェア(PP135)は、ハンス・J・ウェグナーが1967年にデザインした革新的なラウンジチェアです。その名の通り、ハンモックから着想を得た構造を持ち、柔軟な旗綱(フラッグライン)を張った座面と背もたれが、全身をやわらかく受け止める設計となっています。

 

ウェグナーは「オーガニック・ファンクショナリズム」の理念を掲げ、素材の特性を最大限に活かすことに生涯を通じて取り組みました。この椅子では、堅牢な木製フレームと伸縮性のある旗綱を組み合わせることで、まるで宙に浮いているかのようなリラックス感を演出しています。さらに、旗綱を固定するために金属クリップを導入するという画期的な工夫が施され、結び目のない美しいラインと高い快適性が両立されています。

 

このアイデアは、初期スケッチに見られるサークルチェア(PP130)へとつながるものであり、ウェグナーが複数のプロジェクトを通じてアイデアを熟成させる「反復的デザイン手法」を象徴しています。単なる座具にとどまらず、空間における彫刻的存在として成立させた点は、ウェグナーの創造的精神を如実に物語ります。

 

製造史においては、当初ゲタマによる限定生産にとどまりましたが、1990年代以降はPPモブラーが製造を引き継ぎ、今日では受注生産によって丁寧に作られ続けています。オーク材やアッシュ材のフレーム、ナチュラルやブラックの旗綱、真鍮やステンレスのクリップ仕上げなど、多彩なカスタマイズが可能であり、デザイン愛好家にとって特別な一脚として高い評価を受けています。

 

現在のハンモックチェアは、職人の手仕事による緻密な仕上げと素材への深い敬意を体現した、まさに「リラクゼーションのための彫刻作品」と言える存在です。その優美なフォルムと機能性の融合は、ウェグナーの作品群の中でもユニークかつ重要な位置を占めています。

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