JH701(PP701) Arm Chair | アームチェア


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Johannes Hansen(ヨハネス・ハンセン)PP Møbler(PPモブラー)
Year: 1965
Material: Oak, Teak, Wenge, Rosewood, Birch, Tubular Steel, Leather
Size: W62 × D46 × H69 cm / SH 43 cm


Story

JH-701(PP-701)は、ハンス・J・ウェグナーが1965年にデザインし、ヨハネス・ハンセン工房から発表されたアームチェアです。木材、革、スチールという異なる素材を調和的に組み合わせた構造は、ウェグナーの素材に対する深い理解と、機能美を追求する姿勢を如実に示しています。

 

誕生の背景には、家具職人としての経験を持つウェグナーと、妥協のない精度を誇るヨハネス・ハンセンの緊密な協力関係がありました。特にアームレストを地面と完全に水平に保つ設計は極めて難易度が高く、両者は幾度も試作を繰り返しました。その「見えない苦闘」の末に完成したのが、シンプルに見えながらも高度な職人技術を宿すJH-701です。この挑戦の過程こそが、デンマークモダンの象徴的な成果とされています。

 

背もたれやアームレストには、ウェンジやローズウッドの象嵌が施され、精緻な木工技術と素材のコントラストが際立ちます。脚部のクロム仕上げスチールは軽やかでありながら強度を備え、木材との対比がモダンな印象を強めています。座面は革張りで、黒・茶・コニャック・ロイヤルヌバックなど多彩なバリエーションが存在し、経年変化によって深い風合いを獲得していきます。

 

このチェアは1965年のコペンハーゲン家具職人組合展で発表され、当初から高い評価を得ました。展覧会は最先端の技術と創造性を示す場であり、そこで選ばれたJH-701は、発表時点で既に革新性と重要性を認められていた作品といえます。さらに、このチェアはウェグナー自身の邸宅でも実際に使用されており、彼自身が日常の中で信頼を寄せた作品であることが知られています。自邸での使用は、デザインが単なる展示用ではなく、生活に根差した快適性と普遍性を備えていることを証明しています。

 

現在はPPモブラーによって継続生産され、当時の思想と精緻な職人技を受け継ぎながら、世界中で愛され続けています。JH-701は、誕生の秘話、作り手の試行錯誤、そしてデザイナー自身の生活空間に寄り添った存在として、デンマークモダンを象徴する永遠の名作です。

 

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