AT35 Tray Table | トレイテーブル


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Andreas Tuck(アンドレアス・ツック)
Year: 1945
Material: Teak, Oak
Size: W54/62/72 × D54/62/72 × H45/48/49.5 cm


Story

AT35トレイテーブルは、ハンス・J・ウェグナーが1945年に構想し、1950年代から1960年代にかけてアンドレアス・ツック社によって製造された作品です。取り外し可能な円形の天板と折りたたみ式のX字脚というシンプルな構造でありながら、その機能美と職人技の融合によって、デンマーク・モダンデザインの精神を体現しています。

天板はチーク材、脚部はオーク材という異なる特性を持つ素材の組み合わせで作られました。チーク材は耐久性と耐湿性に優れ、天板に適した素材であり、オーク材は堅牢で構造体に適しています。この素材選択はウェグナーの深い職人理解に基づいており、単なる美的判断ではなく、実用性と永続性を両立させるための合理的な設計思想を示しています。

デザイン哲学の根底には「有機的機能主義」があります。折りたたみ式の脚や取り外し可能な天板は単なる利便性のためだけでなく、視覚的にも美しい構造を生み出しており、機能そのものが美学となっています。これはシェーカー家具の影響を受けつつも、より洗練されたデンマーク流の解釈として昇華されました。

また、このモデルは1970年代以降、PPモブラーによって製造が継承されました。アンドレアス・ツック製とPPモブラー製という二つのバリエーションが存在し、それぞれが正統なウェグナーデザインとして評価されています。特にヴィンテージのツック製は、当時の協業を直接伝えるオリジナルとして高い価値を持っています。

AT35は単なる家具以上の存在として、時代を超えて評価され続けています。コンパクトでありながら洗練されたフォルムは現代の空間にも適応し、コレクションとしてだけでなく実用家具としても魅力を保ち続けているのです。

 

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