About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Andreas Tuck(アンドレアス・ツック)
Year: 1950s–1970s
Material: Teak, Oak
Size: W160–240 × D85–101 × H71–73 cm
Story
AT310ダイニングテーブルは、ハンス・J・ウェグナーがアンドレアス・ツックのためにデザインした代表的な拡張式テーブルのひとつです。そのデザインは、シンプルさと機能性、そして自然素材の美しさを融合させたデンマークモダンの精神を完璧に体現しています。
ウェグナーは「有機的機能性」をデザイン哲学の中心に据え、伝統的な木工技術を構造美として強調しました。AT310でも脚部の接合やテーパーの効いたフォルムにその思想が明確に表れており、実用性と彫刻的な美しさを両立させています。
素材には主にチーク材とオーク材が用いられました。天板にはチーク突き板が採用される一方、脚部には無垢のオーク材が選ばれ、安定性と耐久性を確保しています。この組み合わせは、経年変化による美しさを楽しめるだけでなく、日常使用における堅牢さを保証しています。
AT310の大きな特徴は、内部に拡張リーフを収納できる機構です。必要に応じて全長240cmまで広げることができ、普段の食卓から来客時まで柔軟に対応します。この仕組みは現代においても十分に通用する実用性を備えており、ウェグナーの先見性を物語っています。
長期間にわたり製造されたことから、製造年代や寸法にわずかな差異が見られますが、それは需要や木材供給に応じて調整された結果と考えられます。AT310は単なる静的なデザインではなく、時代とともに生き続けた「動的な家具」として高く評価されています。
