AT314 Drop-leaf Dining Table | ドロップリーフダイニングテーブル


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Andreas Tuck(アンドレアス・ツック)
Year: 1950s
Material: Teak, Oak, Brass
Size: W190 × D106 × H72 cm(拡張時最大310 cm)


Story

ハンス・J・ウェグナーとアンドレアス・ツックの協業は、1950年代のデンマーク・モダンを代表する黄金時代を象徴しています。その中でもAT314ドロップリーフダイニングテーブルは、二人の哲学が結晶した傑作です。機能性と造形美を融合させ、家庭の日常に寄り添いながらも芸術的な存在感を放ちます。

このテーブルの大きな特徴は、真鍮のストレッチャーによって補強されたX字型の脚部構造と、サーベルのように流れる脚のフォルムです。天板にはチーク、脚にはオークを用い、異素材の調和による豊かな表情を見せます。素材ごとの適材適所を重視するウェグナーの思想が、そのまま形になっています。

ドロップリーフ機構は、使わないときには折りたたみ、必要に応じて大きなテーブルへと変化させる柔軟さを備えています。この実用性は、限られた空間での暮らしに適応するだけでなく、現代のインテリアにも違和感なく溶け込みます。日本の住空間からモダンな都市型住宅まで、多様な環境に馴染む普遍的なデザインです。

AT314はまた、ウェグナー作品の中で「主題と変奏」という系譜に位置づけられます。AT304テーブルやCH29チェアとの共鳴を示しながら、新たな機能性を加えた作品です。写真資料ではYチェアと組み合わせて配置されることも多く、椅子とテーブルが一体となったウェグナーの美学を体現しています。

アンドレアス・ツックの倒産後も、このテーブルはコレクターや愛好家に高く評価され続けています。単なる家具ではなく、デンマーク・モダンの精神を今日に伝える遺産であり、使い手に職人技とデザインの真髄を体感させる存在です。

 

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