AT324 Dining Table | ダイニングテーブル


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Andreas Tuck(アンドレアス・ツック)
Year: 1960s
Material: Teak, Oak, Beech
Size: Ø135 × H72(伸長時 L235)


Story

AT324ダイニングテーブルは、ハンス・J・ウェグナーがデザインし、アンドレアス・ツック社が製造した希少なヴィンテージ作品です。ミッドセンチュリー期のデンマーク家具を象徴する一脚であり、ウェグナーが提唱した「オーガニック・ファンクショナリズム」を体現する代表的なテーブルとして知られています。

このモデルは、円形から楕円形へと変化する伸長機構を備えており、フォルムの変化と機能性を高度に統合しています。伸長リーフは天板内部に収納され、外部に保管する必要がないため、常にミニマルで整った佇まいを維持できます。単なる利便性を超え、機能を造形の一部として美しく表現している点が大きな特徴です。

脚部はわずかにテーパーを効かせた円柱形で設計され、安定性を確保しながらも軽やかさを演出しています。重厚な天板との対比が、洗練されたプロポーションを生み出しており、空間に柔らかな印象を与えます。使用される素材はチーク、オーク、ビーチといった堅牢な天然木材で、耐久性と美観を兼ね備えています。

このデザインは、ウェグナーの椅子作品と同様に、構造そのものを美として昇華する姿勢が如実に表れています。彼は単に機能的な家具を作るのではなく、日常的に使われる道具を芸術的な存在にまで高めることを目指しました。AT324はまさにその成果であり、シンプルでありながら奥深い美的価値を備えた傑作です。

アンドレアス・ツック社は1972年に幕を閉じましたが、このテーブルは短い製造期間の中で誕生したため、現存数が非常に限られています。その希少性ゆえに国際オークションの記録にはほとんど姿を見せませんが、デンマーク・モダンを象徴する遺産として、今日もなお専門家や愛好家から高く評価されています。

 

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