AT333 Drop Leaf Table | ドロップリーフテーブル


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Andreas Tuck(アンドレアス・ツック)
Year: 1950
Material: Teak, Oak, Rattan
Size: W68 × D58 × H61 cm(拡張時 W118〜123 cm)


Story

AT333ドロップリーフテーブルは、ハンス・J・ウェグナーがアンドレアス・ツックのためにデザインした作品であり、単なるサイドテーブルを超えて「裁縫台」としての機能を持つ特異な存在です。両端の天板を開閉できるドロップリーフ機構によって、必要に応じて省スペースな佇まいから広い作業台へと柔軟に変化する構造が特徴です。

中央には仕切り付きの引き出しが組み込まれ、小物や糸巻きなどの裁縫道具を整然と収めることができます。その下には籐(ラタン)製のバスケットが引き出し式に収められており、毛糸や布地などを収納できるよう設計されています。これらの機能は外観を損なうことなく巧みに隠されており、ウェグナーの「機能的な彫刻」という理念を体現しています。

素材には温かみのあるチーク材と耐久性の高いオーク材が組み合わされており、視覚的な調和と実用性を兼ね備えています。脚部は先細りのテーパードレッグが採用され、軽快さと彫刻的な美しさを兼ね備えた造形となっています。この意匠は、冷たさを排した人間的で有機的なデザインを追求したウェグナーの哲学を如実に示しています。

アンドレアス・ツックの高度な木工技術と、ウェグナーの有機的機能主義の理念が融合した結果、AT33は家具でありながら生活のパートナーのように機能する存在として成立しました。単なるテーブルに留まらず、人間の営みに寄り添い、暮らしの質を高める作品といえます。

 

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