About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: PP Møbler(PPモブラー)
Year: 1953
Material: Oak, Beech, Linen webbing
Size: W55 × D45 × H76 cm(SH44 cm)
Story
pp101は、ハンス・J・ウェグナーが1953年にデザインした椅子であり、ppモブラーによって現代に蘇った作品です。ウェグナーは「ザ・ラウンド・チェア」の思想をさらに簡潔に再構築することを目指し、余分な要素を削ぎ落とすことでフォルムと機能の純化を追求しました。
背もたれは緩やかにカーブした水平のラインを持ち、アームを排したことで軽やかさと開放感を備えています。座面には特注のリネンウェビングが採用され、自然素材の風合いと柔らかな快適性を兼ね備えています。この椅子は、彫刻的でありながら日常的な使いやすさを両立させた、ウェグナーの成熟したデザイン思想を体現しています。
pp101は、長年製品化されることなくアーカイブに眠っていましたが、ppモブラーがオリジナル図面をもとに忠実に再構築しました。2025年の「3daysofdesign」で正式に発表されたことは、デンマーク家具史において極めて重要な出来事であり、未完のデザインが完成を迎えた瞬間でもあります。
ppモブラーは、創業以来、木材への深い敬意と職人技を基盤に家具づくりを続けてきました。単一木材の使用、含水率を抑えた乾燥、持続可能な植林といった厳格な基準により、pp101は世代を超えて美しさと耐久性を保ち続けます。
フォルムそのものが快適性を生み出すというウェグナーの思想が、pp101の緩やかな曲線や広々とした座面に息づいています。この椅子は、デザイン史における重要な遺産であり、ウェグナーとppモブラーの深い協働関係がもたらした象徴的な存在です。