Just Andersen | ユスト・アナセン


Story

ユスト・アナセン(Just Andersen, 1884–1943)は、デンマークを代表する金工作家であり、装飾芸術の分野に革新をもたらした人物です。彼の作品は、伝統的な職人技術と工業的生産を融合させた点で特異であり、20世紀初頭のデンマーク工芸の中で重要な位置を占めています。

1884年にグリーンランドのゴットハウンに生まれ、少年期にデンマークへ移住したアナセンは、ソロー・アカデミーや王立美術院で学び、その後デンマーク工芸学校でイェンス・メラー=イェンセンに師事しました。さらにドイツやイタリアでの教育を受け、国際的な視野を養いました。

彼のキャリアは、モーゲンス・バリンやゲオルグ・イェンセンなどの著名工房での修行と協業から始まりました。1918年に自身の工房「Just Andersen Pewter」を設立し、銀、青銅、ピューターを用いた作品を制作しました。特に彼が独自に開発した合金「Disko Metal」は、高価な青銅に代わる素材として注目され、より幅広い層へデザインを届ける手段となりました。

アナセンの作品は、新古典主義、アール・デコ、アール・ヌーヴォーといった様式を巧みに融合しています。直線的で幾何学的なフォルムを備えた花瓶やランプ、装飾的で象徴的な彫像など、多彩な作品群を展開し、美的価値と実用性を両立させました。

彼は1925年のパリ万博で金メダルを獲得し、その後ニューヨーク、ロンドン、ロサンゼルスなどにショールームを設立するなど、国際的な評価を確立しました。今日ではメトロポリタン美術館やヴィクトリア&アルバート博物館をはじめ、世界の美術館に作品が収蔵され、彼の遺産は広く継承されています。


About

Year: 1884–1943
Place: Greenland(グリーンランド) / Copenhagen(コペンハーゲン)
Field: Decorative arts, Metalwork
Known for: Disko Metal、青銅・ピューター作品


History

1884: グリーンランドのゴットハウンに生まれる
1894: デンマークに移住、ソロー・アカデミーで学ぶ
1910: 王立美術院で学ぶ
1912: デンマーク工芸学校でイェンス・メラー=イェンセンに師事
1918: 工房「Just Andersen Pewter」を設立
1918: 万国博覧会に初参加
1925: パリ万博にて青銅彫刻で金メダル受賞
1927: スウェーデンのGAB社との協業を開始
1929: 工房を株式会社化し事業を拡大
1930: ニューヨークにショールームを設立
1930: ロサンゼルスにショールームを設立
1930: ロンドンにショールームを設立
1930年代: 多様な合金作品を制作、「Disko Metal」を確立
1935: メトロポリタン美術館に作品が収蔵される
1940: 第二次世界大戦下でスウェーデンへ避難
1943: デンマーク・グロストラップにて死去


Works

・Bronze Vase | 青銅製花瓶
・Pewter Bowl | ピューター製ボウル
・Candle Holder | キャンドルホルダー
・Table Lamp | テーブルランプ
・Figurine “Boy on Walrus” | セイウチに乗る少年の彫像
・Figurine “Fish and Merman” | 魚とマーマンの彫像
・Blok Cutlery | ブロックカトラリー(ゲオルグ・イェンセン社向け)
・Bookend | ブックエンド
・Jewelry | ジュエリー作品
・Tray | トレー作品

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