FD906 Conference Table | カンファレンステーブル


About

Designer: Finn Juhl(フィン・ユール)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1950
Material: Teak, Rosewood,Steel
Size: W 250 × D 100 × H 72 cm


Story

FD906 Conference Tableは、フィン・ユールが1950年代にFrance & Daverkosen(後のFrance & Son)のためにデザインした大型会議用テーブルです。このモデルは、工業化が進むデンマーク家具産業において、ユールの彫刻的な美学を大量生産へ適用した象徴的な作品のひとつとされています。

特徴的なのは、重厚さを排した構造と、視覚的な軽快さを追求した点にあります。細くテーパーのついた脚部と最小限の支持構造によって、250cmを超える天板が宙に浮かぶように見えるデザインは、ユールの「浮遊する構造(Floating Principle)」の理念を会議用家具に適用した好例です。大きなサイズでありながらも圧迫感を感じさせず、空間に彫刻的な軽やかさをもたらしました。

また、会議用途に適応するため拡張機構が備えられていた点も注目に値します。これはユールがデザインした他のテーブル群にも共通する特徴であり、実用性を高めると同時に、ディテールに美的価値を持たせる工夫が施されていました。FD906もその系譜に属し、フォーマルな空間での機能性と洗練を兼ね備えています。

製造を担ったFrance & Daverkosenは、チーク材の工業的加工を可能にした革新的な技術を持ち、デンマーク家具輸出を牽引しました。FD906はその時代背景を色濃く反映しており、職人技から工業生産への移行を象徴する作品と位置づけられます。

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