FD147 Lounge Chair | ラウンジチェア


About

Designer: Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen(ピーター・ヴィッツ & オーラ・モルガード=ニールセン)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1956
Material: Teak, Rattan
Size: W66 × D66 × H82 cm


Story

FD147ラウンジチェアは、ピーター・ヴィッツとオーラ・モルガード=ニールセンによって1956年頃に設計され、デンマーク家具の工業化と輸出戦略を象徴する作品です。チーク材のフレームは流れるような曲線を描き、背もたれには籐(ラタン)が編み込まれ、軽やかで開放的な印象を与えています。

この椅子の大きな特徴は、ノックダウン(KD)構造を採用している点です。フレームと座部を分解してフラットパック輸送が可能であり、国際市場における輸送効率を飛躍的に向上させました。これは、戦後のデンマーク家具産業が直面した物流コストの課題を解決する戦略的な革新であり、ヴィッツとモルガード=ニールセンが一貫して追求した「輸送容易性」と「機能主義」の理念を体現しています。

素材には耐久性と美しい木目を持つチーク材が選ばれ、フランス&ダーヴァーコーセン(のちのフランス&サン)が導入した特殊なタングステンカーバイド鋸によって大量生産が可能となりました。一方、ラタンの背もたれ部分は蒸気処理や曲げ加工の後に熟練職人によって手作業で編み込まれており、工業化と伝統的手仕事の融合がここに見られます。

FD147は、同一フレームを用いた布張り仕様のFD148と並行して展開され、多様な市場ニーズに応えるシリーズの一環でした。CADOへの社名変更後も生産は続けられ、デンマークモダン家具の輸出黄金期を支えた代表作として位置づけられます。

今日でもその優美なラインと快適な座り心地は高く評価され、ヴィンテージ市場において国際的に注目されるモデルとなっています。FD147は、美学と工学的合理性を兼ね備え、デンマーク家具の歴史において普遍的な価値を持ち続ける象徴的なラウンジチェアです。

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