FD158 L Conference/Dining Chair | カンファレンス/ダイニングチェア


About

Designer: Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen(ピーター・ヴィット & オルラ・モルガード=ニールセン)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1950s
Material: Teak, Oak, Upholstery
Size: W 52 × D 55 × H 80 × SH 45 cm


Story

FD158 L カンファレンス/ダイニングチェアは、ピーター・ヴィットとオルラ・モルガード=ニールセンが設計し、France & Sonによって製造された椅子です。本モデルは布張りの背もたれ仕様を特徴としており、同時代の籐張り仕様の椅子と比べて、よりフォーマルで高級な環境に適応することを意図していました。

この椅子は、彼らが追求した輸出志向の設計思想を如実に反映しています。ノックダウン(K/D)構造を採用することで、輸送効率を大幅に高めつつ、薄板成形によるアームレストや背のカーブが優雅な印象を与えています。工業的合理性と職人的精度の両立は、まさにデンマークモダンの精神を体現しています。

背もたれの布張り仕様は、会議室やオフィスなど長時間の使用を前提とした場面での快適性を高めるものでした。適切に計算された角度とクッション性は、過度にリラックスさせることなく、作業や会話に集中できる座り心地を提供しています。

また、FD158 Lは構造部品と座・背ユニットがモジュール化されており、生産時の素材バリエーションやメンテナンスの柔軟性を高めています。この考え方は、国際市場での多様な需要に対応するために不可欠なものであり、France & Sonの量産体制と見事に調和しました。

製造の過程では、精密な機械加工による規格化と、仕上げの職人技が共存していました。チークやオークといった素材は、それぞれの市場の嗜好や用途に合わせて選択され、オイル仕上げやソープ仕上げによって自然な風合いが活かされました。こうした素材選択と加工技術は、椅子の耐久性と美観を両立させ、デンマーク家具が世界市場で成功を収める基盤となったのです。

FD158 Lは、輸出戦略とデザイン革新の交差点に位置する象徴的なモデルであり、北欧家具の歴史において重要な遺産として位置づけられます。

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