About
Designer: Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen(ピーター・ホヴィット & オルラ・モルガード=ニールセン)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1950s
Material: Teak, Fabric
Size: W190–211 × D75 × H78 × SH42 cm
Story
FD129/3ソファは、Hvidt & Mølgaard-Nielsenの合理主義的デザイン哲学を象徴する作品です。彼らは1940年代半ばから協働を開始し、250点を超える家具を設計しました。その多くは輸出を前提とした設計であり、国際市場を視野に入れた効率性と美学の融合が追求されています。
このソファの最大の特徴は、分解可能なノックダウン構造にあります。フレーム、アーム、背もたれを機械的に組み立てられる仕様とすることで、輸送効率を格段に高めました。これにより、従来の重厚な一体型家具に比べ、国際輸送に適した軽量性と合理性を実現しました。
フレーム素材として選ばれたチーク材は、耐久性・防湿性に優れ、世界各国の気候条件に対応可能な素材でした。チーク材の強靭さと経年変化による美しさは、長期間の使用においても高い価値を保ち続けています。
クッションシステムはフレームから独立しており、ルーズクッション方式を採用することで、メンテナンスの容易さと快適な座り心地を両立しました。このアプローチは、France & Daverkosenがマットレス製造で培った技術を家具に応用した成果でもあります。
また、このソファはデンマーク国内の工芸的伝統に基づきながらも、ヒレロド工場での工業的生産ラインによって製造されました。その結果、質の高さを維持しつつ大量生産を可能にし、スカンジナビアン・モダン家具の輸出を後押しする代表的なモデルとなりました。
FD129/3は、美的な曲線や構造的合理性だけでなく、産業合理主義とデザインの調和を体現した作品です。今日においても、その堅牢な造りと普遍的なデザインは、ミッドセンチュリー・モダンを代表するソファの一つとして評価されています。