FD519 Corner Table | コーナーテーブル


About

Designer: Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen(ピーター・ホヴィット & オルラ・モルガード=ニールセン)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1956
Material: Teak, Rattan
Size: W74 × D74 × H64 cm


Story

FD519コーナーテーブルは、1956年にピーター・ホヴィットとオルラ・モルガード=ニールセンによってデザインされました。このモデルは、ソファと組み合わせることで空間全体をシステム化するという彼らの設計思想を端的に示しています。特にFD417やFD453といったソファシリーズとの統合を意図しており、リビングをモジュール的に構成する戦略を反映しています。

デザインの特徴は、正方形の天板と繊細に絞り込まれた脚部による軽快なシルエットです。不要な装飾を排し、素材の誠実な表現に徹した造形は、彼らの「シンプルさと精密さ」の理念を象徴しています。高さ64cmという寸法は、ソファの肘掛けや背もたれのラインに呼応し、使いやすさと視覚的な調和を生み出しました。

素材にはソリッドチーク材と籐(ラタン)が採用されています。チーク材は耐久性と寸法安定性に優れ、国際輸出を前提とする製造体制に適していました。加えて、下段の棚板に用いられた籐は視覚的な軽やかさを与え、通気性と機能性を両立させています。こうした素材の組み合わせは、デンマークモダンが自然素材を積極的に取り入れた潮流を体現しています。

製造元であったFrance & Daverkosenは、当時の輸出指向型メーカーの代表格であり、ノックダウン構造を取り入れることで国際市場への効率的な流通を実現しました。FD519もまた、分解と再組み立てを想定した構造を備えていた可能性が高く、工業的な合理性と職人的な美学を兼ね備えた製品でした。

このコーナーテーブルは、単体の家具という枠を超え、システム家具としての概念を提示しました。ソファと一体となって空間を構成することで、デンマークモダンが目指した「生活全体のデザイン」を具体化しており、家具史においても重要な位置を占めています。

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