FD166 Senator Chair | セネターチェア


About

Designer: Ole Wanscher(オーレ・ヴァンシャー)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1951
Material: Teak, Upholstery (fabric, spring seat)
Size: W69 × D75 × H97 × SH45 cm


Story

FD166 セネターチェアは、オーレ・ヴァンシャーが1951年に発表したハイバック仕様のラウンジチェアです。戦後のデンマーク・モダンが国際市場に浸透し始めた時期に登場し、古典的な均衡感と工業化の要請を結びつけた代表作といえます。

ヴァンシャーは師コーア・クリントから学んだ「家具を建築の一部として設計する」という哲学を踏まえ、FD166においても構造的な明快さと耐久性を追求しました。細く伸びやかなフレームは、古代ギリシャやエジプト家具に通じる均整感を持ち、過剰な装飾を排した端正な佇まいを実現しています。

最大の特徴は、分解可能なフレーム構造にあります。ノックダウン方式の採用により輸送効率が飛躍的に高まり、国際市場への展開を容易にしました。さらに部品交換や張り替えが可能な構造は、使用者が世代を超えて維持できる永続性を与えています。これは「数百年続く家具」というヴァンシャーの理想を具現化するものでした。

素材には高品質なチーク材が選ばれ、油分に富む特性が耐久性を保証します。座面や背もたれには内部にスプリングを備えた厚手のクッションが用いられ、快適性と形状保持力を両立しました。堅牢なフレームとしなやかな座り心地のバランスは、ヴァンシャーの設計哲学が結晶した成果です。

当初はFrance & Sønによって製造され、デンマーク家具の輸出戦略を支えました。その後、権利はCarl Hansen & Sønへと受け継がれ、現在も製造が続けられています。ウェグナー作品と並び、ヴァンシャーの代表作として国際的に高い評価を受ける理由は、この設計と製造体制の一貫した普遍性にあります。

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