Story
C. W. F. France(チャールズ・ウィリアム・フィアンリー・フランス, 1897–1972)は、デンマーク・モダンの工業化を主導した実業家です。彼は家具デザイナーではなく、むしろ産業構築者として、デンマーク家具を世界市場に適応させるための事業戦略を確立しました。その最大の貢献は、家具を容易に分解して輸送できる「ノックダウン方式」を導入し、輸出におけるコスト削減と効率化を実現した点です。
スコットランドで生まれたフランスは、1930年代にデンマークへ移住し、エリック・ダヴァーコーセンと共同で事業を開始しました。戦中はドイツの捕虜収容所で過ごしましたが、この期間に輸送効率を前提とした家具生産モデルを構想しました。戦後に France & Daverkosen(のちの France & Søn)を再建し、デンマーク家具輸出の中核企業として急成長させました。
1950年代半ばにはデンマーク家具輸出の60%を占め、アメリカ市場においてスカンジナビア・モダンの普及に決定的役割を果たしました。彼は「家具のロールス・ロイス」を目標とし、大量生産と職人技を両立させ、工業化と品質保持を同時に実現しました。
また、フィン・ユールやオーレ・ヴァンシャーらトップデザイナーとの協業を通じて、工業的スケールでのチーク材加工を確立しました。彼の戦略はデンマーク家具を文化的工芸品から世界的ブランドへと昇華させ、その後のCADOやIKEA型のフラットパック家具の先駆的基盤ともなりました。
About
Year: 1897–1972
Place: Glasgow(グラスゴー)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
History
1897: スコットランド・レンフルーシャー州キャスカートに生まれる
1936: デンマークに移住し、Eric Daverkosenと共にマットレス工場を設立(後のFrance & Daverkosenの基盤)
1939–1945: 第二次世界大戦中、英国籍ゆえにドイツにより捕虜収容所に収監される
1948: 戦後に家具製造業としてFrance & Daverkosenを再建
1952: コペンハーゲン近郊ヒレロッドに大規模工場を建設、大量生産体制を確立
1954: デンマーク家具輸出総額の60%を占め、国際市場で圧倒的優位を獲得
1957: 息子ジェームズ・フランスが参画し、社名をFrance & Sønに変更
1950s–1960s: フィン・ユール、オーレ・ヴァンシャー、グレーテ・ヤルクらトップデザイナーと協業
1964–1967: 会社をポール・カドヴィウスに売却し、CADOへ移行
1972: デンマークで死去
Furniture
・FD-133 Spadestolen | スパードチェア(Finn Juhl)
・FD-137 Japan Chair | ジャパンチェア(Finn Juhl)
・FD-109 Senator Easy Chair | セネター イージーチェア(Ole Wanscher)
・FD-111 Senator Armchair | セネター アームチェア(Ole Wanscher)
・FD-128 Lounge Chair | イージーチェア(Grete Jalk)
・FD-151 Ax Chair | アックスチェア(Hvidt & Mølgaard)
・FD-148 Easy Chair | イージーチェア(Hvidt & Mølgaard)
・FD-561 Senator Series Table | セネターシリーズ テーブル(Ole Wanscher)
・FD-503 Coffee Table | コーヒーテーブル(Edvard Kindt-Larsen)
・FD-510 Side Table | サイドテーブル(Tove & Edvard Kindt-Larsen)
・FD-117 Sofa | ソファ(Tove & Edvard Kindt-Larsen)
・FD-189 Conference Chair | カンファレンスチェア(Tove & Edvard Kindt-Larsen)