About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Andreas Tuck(アンドレアス・ツック)
Year: 1960
Material: Teak, Oak, Palisander
Size: W142 × D71 × H30 cm
Story
AT18テーブルは、ハンス・J・ウェグナーがアンドレアス・ツック社のためにデザインした作品のひとつであり、彼のデザイン哲学「有機的機能主義」を体現した名作です。格子状の天板を持つ独特の構造は、軽快な視覚効果と通気性を備え、ベンチとしてもテーブルとしても機能する多用途性を示しています。
ウェグナーは「テーマとバリエーション」という発想を得意とし、AT18と同一寸法のAT19では、天板をソリッド材に変えることでコーヒーテーブルとしての性格を強調しました。この2作の比較は、彼が単一のアイデアを異なるかたちで展開する創作手法を理解する上で重要な事例です。
使用された素材はチーク、オーク、パリサンダーの3種で、それぞれ異なる表情を家具にもたらします。チークは経年変化による深い色合いが特徴であり、オークは力強い木目が空間に温かみを加えます。パリサンダーは希少性と濃密な木目により、最も特別な存在感を放ちます。
製造元であるアンドレアス・ツック社は、1950年代から1960年代にかけて活発に活動し、ウェグナーを主任デザイナーとして数々の作品を発表しました。AT18はその代表例であり、時代の技術革新や海外市場の需要に応える形で生まれた、進歩的かつ普遍的なデザインの一つです。
本作の真正性を確認するための重要な要素が、アンドレアス・ツック社の焼印です。「Fabrkat Andr. Tuck Arkitekt Hans J. Wegner Denmark」と刻まれた焼印は、作品が正真正銘のツック製であることを示す証となります。今日、AT18は希少性の高さから、デンマーク・モダンを象徴するコレクターズアイテムとして高く評価されています。

