AT303 Table | AT303 テーブル


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Andreas Tuck(アンドレアス・ツック)
Year: 1950
Material: Teak, Oak, Brass, Steel
Size: W170 × D86 × H72 cm


Story

AT303テーブルは、ハンス・J・ウェグナーがアンドレアス・ツックのために1950年代初頭にデザインした傑作です。特徴的なのは、クロス状に交差する「ソーバック」型の脚と、浮遊感を与える天板構造です。この造形は、機能的な強度を備えつつ、軽やかで彫刻的な美しさを表現しています。

脚部は取り外し可能で、輸送や設置に柔軟性を与える構造を持っています。真鍮やスチール製のテンションバーが加えられることで、強度を高めながらもデザイン的なアクセントを担っています。このように、構造そのものが装飾となるのはウェグナーの信念をよく示しています。

素材には主にチークとオークが用いられ、異なる組み合わせによって多彩なバリエーションが存在しました。特にオールオーク仕様は希少であり、現存数も少ないためデザイン史的に重要です。素材の選択と組み合わせは、木材の表情を引き出しながら家具全体に独自の温かみを与えています。

AT303は、同じATシリーズのテーブルと比較しても特異な存在です。例えばAT304が拡張式のドロップリーフ構造を備えるのに対し、AT303は固定天板に徹し、安定感と構造的純粋さを追求しました。この一貫性は、後にカール・ハンセン&サン製のCH29「ソーバックチェア」などにも受け継がれるデザイン言語と共鳴しています。

アンドレアス・ツック社が1972年に閉鎖したことでAT303の生産は終了しました。そのため、今日では希少なヴィンテージ品として扱われ、デンマーク・モダンデザインを象徴する収集価値の高い家具として位置づけられています。

 

PAGE TOP