About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Andreas Tuck(アンドレアス・ツック)
Year: 1960
Material: Brazilian rosewood, Teak, Chrome-plated steel
Size: 幅 160–320 × 奥行き 130 × 高さ 70.5 cm
Story
AT321ダイニングテーブルは、ハンス・J・ウェグナーとアンドレアス・ツックの緊密な協業から生まれた傑作です。1960年前後に製作されたこのテーブルは、ウェグナーが追求した「オーガニック・ファンクショナリズム」の理念を具現化し、温かみのある天然木と工業的なスチールという異素材の組み合わせによって、視覚的な軽やかさと高い実用性を同時に実現しています。
特徴的なのは、拡張機能を備えた大規模なテーブルトップです。チーク材やローズウッドを用いた天板は、クロムメッキスチール製の脚部に支えられ、まるで浮遊しているかのような印象を与えます。この合理的な構造は、安定性と優雅さを両立させ、あらゆる生活空間に調和する存在感を発揮しています。
また、AT321は「サレスコ」ネットワークの戦略的な文脈の中で位置づけられています。ウェグナーの椅子作品と合わせてショールームに展示されることを前提にデザインされ、カール・ハンセン&サン製のCH88Pチェアなどと完璧な調和を見せました。木材、スチール、ファブリックという共通のデザイン言語によって統一感が生まれ、単なる家具の組み合わせではなく、ライフスタイル全体を提案する存在となっていたのです。
さらに、ヴィンテージ市場においてAT321は極めて希少であり、その価値は素材やコンディションによって大きく左右されます。特にブラジリアンローズウッド製のモデルは、その深みのある木目と色彩によってコレクターから高い評価を受けています。テーブル裏面には「Andr. Tuck, Design Hans J. Wegner, Made in Denmark」の焼印が刻まれ、正規製造品であることを証明しています。
AT321ダイニングテーブルは、デンマークモダンの黄金時代を象徴するだけでなく、形式と機能の融合を体現した永続的なデザイン遺産です。日常的な使用における利便性と、芸術作品としての美しさを兼ね備えたこの作品は、現在もなお人々を魅了し続けています。


