AT322(CH322) Dining Table | ダイニングテーブル


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Andreas Tuck(アンドレアス・ツック)
Year: 1960
Material: Teak / Rosewood, Steel
Size: 幅100 × 奥行180(伸長時260) × 高さ70.5 cm


Story

AT322ダイニングテーブルは、ハンス・J・ウェグナーとアンドレアス・ツックによる協働から生まれた革新的な作品です。ウェグナーの有機的機能主義と、ツック社の緻密な職人技が融合することで、木材とスチールという異素材を調和させたデザインが実現しました。

ウェグナーは生涯を通じて木材にこだわり続けたデザイナーですが、AT322ではスチールという工業的素材を取り入れ、温かみと冷徹さが共存する新たな美学を提示しました。この実験的な挑戦は、1960年代当時のデザイン界において極めて先進的であり、後の家具デザインに大きな影響を与えました。

天板はチークまたはローズウッド突板で仕上げられ、伸長機構を備えることで日常から来客時まで柔軟に対応できる実用性を持ちます。脚部は細身のスチールで構成され、天板を視覚的に浮遊させるような軽やかな印象を生み出しています。合理的で無駄のない構造とともに、ウェグナーが追求した「隠れた構造美」が明確に示されています。

アンドレアス・ツック社の活動は1972年に幕を閉じました。そのためツック製オリジナルのAT322は極めて希少であり、現代の市場では特に高い評価を受けています。このモデルは後年、カール・ハンセン&サンによって「CH322」として復刻されましたが、現在は生産が終了しています。復刻版は現代の素材仕様を反映しており、オリジナルのAT322と比較することで、時代ごとの設計思想や製造背景の違いを知ることができます。

現行のカール・ハンセン&サン製CH322としばしば比較されますが、AT322はツック工房の限定的な生産背景と当時の素材仕様を反映した唯一無二の存在です。ヴィンテージ特有のオリジナル性が、今日においてもコレクターや愛好家を魅了し続けています。

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