Story
アクセル・ペダー・イェンセン(1885-1972)は、デンマーク近代美術における重要な風景画家です。彼はフュン島のケルテミンデに生まれ、初めは家屋塗装職人として技術を身につけました。この実務的な経験が、彼の色彩感覚や素材の扱いに強く影響を与えたと考えられています。後にオールボーの技術学校で基礎を学び、さらにクリスチャン・ツァートマンやヨハン・ローデに師事することで、芸術家としての道を本格的に歩み始めました。
彼の作品は、伝統的なフュン島派の写実性を継承しながらも、より強い色彩や新しい主題を取り入れた点に特徴があります。特に秋や冬といった暗くなりがちな風景を、明るさと生命感をもって描き出したことは、デンマーク絵画に新たな表現の幅をもたらしました。彼の風景画は、季節の移ろいや自然の力強さを鮮やかに表現し、見る者に希望と共感を与えます。
イェンセンは「De Tretten」や「Grønningen」といった前衛的な美術団体にも所属し、デンマーク近代美術の中心的な動向に関わりました。彼は地方の風土と首都コペンハーゲンのモダニズムを融合させ、風景画を通じて伝統と革新の架け橋となった存在でした。その芸術はデンマーク国内にとどまらず、北欧各国の美術館に収蔵され、また日本市場においても紹介されています。
今日、彼の作品は市場においても安定した評価を受けています。大量の作品が流通しているにもかかわらず需要が安定しており、堅実な成長を示しています。これは彼の芸術が持つ普遍的な価値を証明するとともに、未来にわたって受け継がれるべき重要な文化的遺産であることを示しています。
About
Year:1885-1972
Place:Kerteminde(ケルテミンデ) / Frederiksberg(フレデリクスベア)
Museum:Statens Museum for Kunst(デンマーク国立美術館)、Kunsten Museum of Modern Art Aalborg、Nasjonalmuseet(ノルウェー国立美術館)、Moderna Museet(スウェーデン近代美術館)
History
1885:フュン島ケルテミンデに生まれる
1900:家屋塗装職人としての訓練を開始
1903:オールボー技術学校で学ぶ
1907:クリスチャン・ツァートマンの芸術家研究学校に入学
1908:ヨハン・ローデに師事
1910:前衛芸術家たちと交流を深める
1911:パリを訪れ、ウィリアム・スカーフやオラフ・ルーデと交流
1915:肖像画から風景画へと主題を移行
1920:コペンハーゲンを拠点に活動を開始
1921:Kunsten美術館に「女性の肖像」が収蔵される
1929:春の風景を描いた作品を制作、日本でも紹介される
1931:ノルウェー国立美術館に「Strandfogdens hage」が収蔵される
1934:スウェーデン近代美術館に作品が収蔵される
1940:ブロクフスで多くの風景画を制作
1944:デンマーク国立美術館に「Landskab」が収蔵される
1950:「Grønningen」に参加し作品を発表
1960:デンマーク美術史における革新的風景画家として評価が定着
1970:晩年まで創作活動を継続
1972:フレデリクスベアで逝去
Works
・Landskab | 風景
・Dameportræt | 女性の肖像
・Strandfogdens hage | ビーチの庭
・Strandlandskap med förblåsta granar | 風に吹かれたトウヒのある海岸風景
・Trädgårdsinteriör | 庭の内部
・Landskab med havudsigt | 海を望む風景
・Vinterlandskab | 冬の風景
・Efterår på marken | 秋の畑
・Forår med rapsmarker | 菜の花畑の春
・Sommerlandskab | 夏の風景
・Havnen i Kerteminde | ケルテミンデの港
・Aftenlys over mark | 畑の夕景
・Skovinteriør | 森の内部
・Bondegård i vinter | 冬の農家
・Høstlandskab | 収穫の風景
・Klitter ved havet | 海辺の砂丘
・Portræt af en ung kvinde | 若い女性の肖像
・Blomstrende eng | 花咲く草原
・Bylandskab | 都市風景
・Solnedgang ved fjorden | フィヨルドの夕暮れ