About
Designer: Tove & Edvard Kindt-Larsen(トーヴェ&エドヴァルド・キント・ラーセン)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1954
Material: Solid Teak, Upholstery
Size: W135–137 × D71–75 × H78–79 × SH42 cm
Story
FD117/2½ ソファは、1950年代半ばにトーヴェ&エドヴァルド・キント・ラーセン夫妻によってデザインされ、France & Daverkosen(後のFrance & Son)によって製造されました。2人はコーア・クリントの教育を受けたデザイナー夫妻であり、厳格な機能主義を柔らかく人間的な表現へと展開させることを得意としていました。本作もその流れの中に位置づけられます。
ソファは直線的で幾何学的なフレームを基盤としながら、肘掛けには緩やかなカーブを取り入れています。これにより構造的な誠実さと有機的な優雅さを併せ持ち、視覚的な軽やかさを実現しました。特にテーパー状の脚部と外側に傾斜した設計は、浮遊感を生み出し、空間に軽快さを与えています。
素材にはチーク無垢材が採用され、耐久性と経年変化による美しい表情を備えています。当時のデンマーク家具産業において、チーク材の大量生産は技術的な挑戦でしたが、France & Sønは機械加工の革新により、無垢材を高精度かつ効率的に量産する体制を築きました。FD117/2½はその成果を体現するモデルです。
背もたれには人間工学的な傾斜が施され、座面は適度なクッション性を持ち、日常使いにおける快適さを保証しています。この「抑制されたエレガンス」は、商業的にも国際的にも評価され、特に米国市場で人気を博しました。
FD117シリーズには、同時期に発表されたラウンジチェア(モデル116)も含まれ、ミラノ・トリエンナーレで受賞するなど高い評価を受けています。ソファとチェアが共通のフレーム構造を持つことは、France & Sønのモジュール化戦略に適合し、工業的合理性とデザインの統一感を両立させました。
本作は、デンマーク・モダンの黄金期におけるデザイナーとメーカーの緊密な協働、そして芸術性と工業化の調和を象徴する作品として、今日に至るまで重要な位置を占めています。