About
Designer: Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen(ピーター・ヴィット & オルラ・モルガード=ニールセン)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1950s
Material: Teak, Rattan
Size: W 48 × D 52 × H 78 × SH 45 cm
Story
FD129アームレスチェアは、ピーター・ヴィットとオルラ・モルガード=ニールセンが1950年代に設計した作品で、工業化と国際輸出を強く意識したデザインの象徴です。両者は伝統的な職人技を基盤としながらも、大量生産と輸出を前提とした設計を実現し、デンマークモダンを世界へと広げる重要な役割を果たしました。
この椅子の最大の特徴は、アームレス構造とノックダウン方式を組み合わせている点にあります。肘掛けを省いたことで省スペース性と自由度が高まり、会議室やダイニングなど多用途に適応しました。また、ノックダウン構造により分解・輸送が可能となり、船便輸送時のコスト削減や関税対策に大きな効果を発揮しました。
素材には高品質なチーク材が用いられ、耐久性と美しい木目が椅子全体に格調を与えています。さらに、背や座の籐(ラタン)による編み込みが軽やかな表情を加え、視覚的にも機能的にも快適性を高めています。
製造元であるFrance & Daverkosenは輸出に特化したデンマークの代表的工房であり、ヴィット&モルガード=ニールセンとの協働により、工業化時代を象徴する家具を次々と市場に送り出しました。FD129もその成功例のひとつであり、デザインの簡潔さと産業的合理性を両立させた名作と位置付けられます。
今日においてFD129は、デンマーク家具の黄金期を象徴する作品として高い評価を得ており、そのシンプルで洗練された造形は現代の空間においても自然に調和します。