About
Designer: Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen(ピーター・ヴィト & オーラ・モルガード=ニールセン)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1953
Material: Teak, Fabric, Spring cushion
Size: W 55 × D 45 × H 42 cm
Story
FD131フットスツールは、1953年にPeter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsenによってデザインされ、France & Daverkosen(後のFrance & Son)によって製造されました。本モデルはFD130アームチェアと組み合わせて使用するために設計され、ラウンジセットの一部として位置づけられています。デンマーク家具が国際市場へ本格的に輸出され始めた時代に誕生した、輸送効率と機能性を兼ね備えた象徴的な製品です。
Hvidt & Mølgaardのデザイン哲学は「軽さ、単純さ、明快さ」にあり、FD131にもその特徴が色濃く表れています。フレームは堅牢なチーク材で構成され、分解可能なノックダウン構造が採用されました。この仕組みにより、輸送時の体積を抑え、海外市場への効率的な流通を可能にしました。単一の工具で組立と分解ができる構造は、消費者の利便性を高めると同時に、家具流通の合理化を実現しています。
座面にはスプリング内蔵のクッションが用いられ、適切な保持力と快適性を提供しました。カバーはジッパー付きで取り外し可能となっており、清掃や張り替えが容易に行える設計です。さらに両面使用可能な仕様は、耐久性と実用性を兼ね備えた合理的な工夫といえます。
素材には高級感と耐久性を兼ね備えたチーク材が選ばれました。国際市場で人気を集めたこの素材は、輸出家具の付加価値を高める要素として重要でした。フレームの合理的な構造と、素材の質感が融合したFD131は、当時のデンマークモダン家具が掲げた「機能美と経済合理性」の理想を体現しています。
FD131フットスツールは、シンプルな外観ながらも輸出戦略とデザイン革新が凝縮された作品です。今日においても、Hvidt & Mølgaardのデザインの中で国際展開を象徴するモデルの一つとして評価されています。