About
Designer: Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen(ピーター・ヴィト & オルラ・モルガード=ニールセン)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1956
Material: Solid Teak, Brass
Size: W162 × D142 × H73 cm(展開時) / D46 cm(折り畳み時)
Story
FD20/59 ゲートレッグ・ダイニングテーブルは、1950年代半ばにPeter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsenが設計し、France & Daverkosen(後のFrance & Son)によって製造されました。この作品は、都市住宅の制約に適応するための多用途性と、国際輸送を想定した効率的な構造設計を兼ね備えた、デンマーク・モダンの象徴的なプロダクトです。
このテーブルの最大の特徴は、両側のドロップリーフを折り畳むことで奥行きをわずか46 cmまで縮小できる点にあります。完全展開時には6人以上が着席できるダイニングサイズとなり、部分展開では壁付けのサイドテーブルとしても利用可能です。空間に応じて自在に形を変える設計は、当時の都市生活者のニーズに直結していました。
ゲートレッグ機構を支えるのは、真鍮製のナックルジョイントです。この金属部品は、スムーズな開閉と高い耐久性を保証し、構造的な信頼性をもたらしました。さらに、チーク材とのコントラストが視覚的効果を生み出し、機能と美を両立させています。
素材には耐湿性と寸法安定性に優れるソリッドチークが採用されました。長期間の使用を前提とした設計思想が反映されており、輸出市場での信頼性を高める重要な要素でした。また、仕上げには当時一般的であったオイル仕上げや、輸出先に応じたラッカー仕上げが施され、経年変化によって深い風合いを獲得していきました。
FD20/59の誕生は、France & Daverkosenが大規模な輸出戦略を進める中で重要な役割を果たしました。後継のFrance & Son、さらにCADOへと企業体制が移行しても生産は継続され、長期間にわたり国際市場で支持を集めました。輸出先であるアメリカ市場ではJohn Stuart Inc.を通じて流通し、高級家具として認知されました。
このテーブルは、16世紀以来の伝統的なゲートレッグ構造をミッドセンチュリーの美学と工業技術に融合させた成果であり、デンマーク家具が国際的評価を獲得する過程を象徴する存在といえます。