About
Designer: Arne Vodder(アルネ・ヴォダー)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1950s
Material: Teak, Rosewood, Rattan
Size: W64 × D68 × H78 × SH42 cm
Story
FD204 Companion Armchairは、アルネ・ヴォダーが追求した「有機的フォルム」の哲学を体現する代表作です。背もたれからアーム、脚部へと流れる曲線的なシルエットは、静的な椅子に動的な印象を与え、同時に視覚的な軽やかさを実現しています。ヴォダーが強調した「曲線の美しさと包容力」は、この椅子の存在感を際立たせています。
フレームにはチークやローズウッドといった高級広葉樹が用いられ、適度なテーパリングによって質量感を抑えつつ、堅牢な構造を確保しています。さらに背と座には籐(ラタン)が編み込まれ、軽量性と通気性を備えながら、天然素材特有の温かみを空間に与えています。このラタンは職人の手作業による編み込みで、六角形や網代のパターンが採用され、耐久性と美観の両立を可能にしました。
FD204は「コンパニオン」という名が示すように、ラウンジチェアの重厚さとダイニングチェアの軽快さの中間に位置するデザインです。書斎やリビングのみならず、格式ある応接空間でも柔軟に機能し、多様なシーンに適合します。
製造を担ったFrance & Daverkosen(後のFrance & Son)は、チーク材加工に革新をもたらした工房です。タングステンカーバイド鋸を導入することで難加工材であるチークを効率的に扱い、ヴォダーのような複雑な有機的フォルムを量産化することに成功しました。FD204はその工業化と高品質クラフトマンシップの融合を象徴する作品であり、1950年代からCADO時代に至るまで継続的に製造されました。
現代では、Snedkergaardenがヴォダー本人との交流を通じて受け継いだ製造方法をもとに復刻を行い、オリジナルと同等のクラフトマンシップを維持しています。これにより、FD204は単なる歴史的デザインではなく、今なお現役の家具として評価され続けています。