About
Designer: Tove & Edvard Kindt-Larsen(トーヴェ&エドヴァルド・キント・ラーセン)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1950s
Material: Teak
Size: W150 × D52 × H50 cm
Story
FD503コーヒーテーブルは、トーヴェ&エドヴァルド・キント・ラーセン夫妻によってデザインされ、1950年代後半からFrance & Daverkosen(後にFrance & Son)で製造されました。この時代は「チーク材の黄金期」と呼ばれ、デンマーク家具が国際市場で大きな成功を収めた時期にあたります。
デザインの最大の特徴は「ボートシェイプ」と呼ばれる天板の曲線です。中央が最も幅広く、両端にかけて優雅に絞られていくフォルムは、空間に柔らかいリズムをもたらし、従来の直線的なテーブルデザインとは一線を画しました。また天板のエッジがわずかに立ち上がる加工により、厚みを感じさせず、軽やかに浮遊するような印象を与えます。
構造面では、脚部を取り外し可能な「分解構造」が大きな革新でした。これは単に利便性のためではなく、輸送効率を高めるために設計された工業的戦略の成果です。脚部は先細りのチーク材で形成され、天板の浮遊感をさらに強調しています。堅牢でありながら分解可能という構造は、デンマーク家具が大量輸出に適応するための象徴的な技術でした。
素材には高品質なソリッドチークが用いられています。耐久性に優れ、湿度変化にも強い特性は、国際市場における輸送や長期使用に理想的でした。仕上げはオイル仕上げやラッカー仕上げなど複数のバリエーションがあり、輸出先の市場ニーズに応じて調整されていました。
このモデルはFrance & Daverkosen期に登場し、1957年以降のFrance & Son時代にも継続生産され、さらに1960年代後半のCADOによる事業継承後も製造が続けられました。FD503は、デンマークモダンの工業化戦略を象徴するロングセラーモデルであり、今日でもヴィンテージ市場で高く評価される存在です。