FD578 Round Coffee Table | ラウンドコーヒーテーブル


About

Designer: Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen(ピーター・ヴィット&オルラ・モルガード=ニールセン)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1950s
Material: Teak, Rattan, Brass
Size: W99 × D99 × H50 cm


Story

FD578ラウンドコーヒーテーブルは、デンマークを代表するデザイナーデュオ、ピーター・ヴィットとオルラ・モルガード=ニールセンによって設計されました。製造はFrance & Daverkosen(後のFrance & Søn)が担い、1950年代から1960年代初頭にかけて展開された作品です。本作はMinervaシリーズの一環としても言及され、国際市場への輸出を視野に入れた構造とデザインが特徴です。

最大の特長は「ノックダウン(KD)構造」を採用した点です。脚部、天板、下段シェルフを分解して梱包できるため、輸送効率が飛躍的に高まりました。特に真鍮のロッドを用いた接合は、分解可能な部材を優雅なデザインディテールへと昇華させ、モダニズムの原則である「機能を隠さず表現する」思想を体現しています。

素材には無垢のチーク材が用いられました。France & Sønはチーク材の工業的加工を可能にした先駆的企業であり、超硬合金の鋸を導入することで、それまで困難とされた大量生産を実現しました。その成果がFD578に反映され、堅牢でありながら量産に適した構造を備えています。

下段の棚には籐(ラタン)が張られ、視覚的な軽やかさと通気性を加えています。重厚なチーク材フレームとの対比により、家具全体に独特のバランスと洗練をもたらしています。

FD578は、デザインと工業化技術、そして物流戦略が結びついた象徴的な作品です。現在もヴィンテージ市場で高く評価され、デンマーク・モダンの国際的成功を支えた代表的なテーブルとして位置づけられています。

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