JL24B Dining Table | ダイニングテーブル


About

Designer: Niels Otto Møller(ニールス・オットー・モラー)
Manufacturer: J.L. Møller Møbelfabrik(J.L. モラー)
Year: 1960
Material: Rosewood / Teak / Oak
Size: W160 × D90 × H73 cm(Extendable to W265 cm)


Story

JL24Bダイニングテーブルは、デンマークの家具職人ニールス・オットー・モラーによって設計され、彼自身の工房であるJ.L.モラー製作所によって製造された拡張式テーブルです。1960年代に生産されたこのモデルは、スカンジナビア・モダンの成熟期に誕生した代表的な作品のひとつであり、機能と素材の誠実な調和を体現しています。

モラーは、1939年にキャビネットメーカーとして修業を終えたのち、オーフスのデザイン学校で学びました。彼の設計哲学の根底には、木材という素材そのものの構造的可能性を引き出し、無駄を排した純粋な形を追求する姿勢があります。JL24Bは、その哲学が最も明確に表現されたテーブルの一つであり、「洗練された簡潔さ」というモラーの信条を見事に具現化しています。

構造面では、脚部が床に向かって細くなるテーパー形状を持ち、視覚的に軽やかな印象を与えます。これは重厚なソリッドウッド製の天板と絶妙なバランスを保ち、同時に椅子の曲線フレーム(Model 71やModel 78など)と調和するよう設計されています。テーブルの拡張システムは、プルアウト式とバタフライ式の2種があり、用途に応じて柔軟に対応できる高精度な構造が特徴です。

素材には主にローズウッドやチークが使用され、いずれも天然の木目が活かされた仕上げが施されています。拡張時には木目の連続性が維持され、開いた状態でも一枚板のような一体感を感じさせます。仕上げはデンマークオイルやソープフィニッシュが選択され、いずれも木材の質感を尊重する伝統的手法です。特にソープフィニッシュは、使い込むほどに経年変化を楽しめる柔らかな触感をもたらします。

製造を担ったJ.L.モラー製作所は、1944年にオーフスで設立されました。職人技と現代的生産効率を両立させる理念のもと、組立ラインを用いず、すべての工程を熟練職人が手作業で仕上げています。1960年代には国際市場への輸出を拡大し、品質において世界的評価を確立しました。今日でも同社は家族経営を続け、創業者モラーの「品質を決して妥協しない」精神を守り続けています。

JL24Bダイニングテーブルは、単なる家具ではなく、デンマークのクラフトマンシップと機能主義哲学の融合を象徴する存在です。その静謐で均整の取れたフォルムは、流行に左右されることなく、時代を超えて愛される「タイムレスデザイン」の典型として高く評価されています。

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