About
Designer: Mogens Koch(モーエンス・コッホ)
Manufacturer: Rud. Rasmussen(ルド・ラスムッセン)
Year:
Material: Oak, Walnut, Mahogany
Size: W75 × D75 × H46.5 / 35 cm
Story
モーエンス・コッホが1960年にデザインしたMK-19 フォールディングテーブルは、彼の代表的な「折りたたみプログラム」の一環として位置づけられています。このシリーズは、1932年の折りたたみ椅子の設計から続くもので、限られた空間における柔軟な使い方を追求するコッホの理念を明確に示しています。
このテーブルの設計意図は、必要最小限の構造で最大限の機能を実現することにあります。木製のクロスフレーム構造を採用し、金属部品を一切使用しない可動機構によって、軽量でありながら高い安定性を保っています。ルド・ラスムッセン工房の精密な木工技術によって、折りたたみ時には完全に平らに収納でき、使用時には堅牢な構造を維持することが可能となりました。
MK-19の特徴のひとつは、二段階の高さ調節機構(46.5cmと35cm)です。この機能により、用途に応じてコーヒーテーブルやサイドテーブルとしても使用できるよう設計されています。可動部はすべて木材によるジョイントで構成されており、金属のヒンジや留め具を使わずに可動性と耐久性を両立しています。この構造は、素材の誠実さを尊重し、自然な経年変化を受け入れるというコッホの思想を体現しています。
素材には高品質のオーク、ウォルナット、マホガニーなどが用いられ、表面はオイル仕上げで木材本来の質感を活かしています。また、持ち運びのためのフルグレインレザーのストラップが付属し、使用後は壁に掛けて収納できるよう工夫されています。この細部への配慮は、日常生活の中での使いやすさと美しさを両立するデンマークデザインの典型例です。
MK-19は、モーエンス・コッホのデザイン哲学を象徴する作品であり、デンマーク家具の伝統的な木工技術と機能主義の理念を融合した傑作です。その静謐で合理的な造形は、ルド・ラスムッセン工房の職人技によって完成され、今日に至るまで高く評価されています。