PP571 Architects Desk | アーキテクツデスク


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: PP Møbler(PPモブラー)
Year: 1953
Material: Oak, Teak, Stainless steel
Size: W195 × D95 × H74 cm / W215 × D95 × H74 cm


Story

PP571 Architects Deskは、ハンス・J・ウェグナーが1953年にデザインしたデスクであり、彼の思想が結晶した稀有な作品です。当初はヨハネス・ハンセン工房によってプロトタイプが製作され、1954年のコペンハーゲン家具職人ギルド展に出品されました。その後、長らく製品化されることなく「幻のデスク」と呼ばれましたが、2014年にウェグナー生誕100周年を記念してPPモブラーが復刻しました。

このデスクの特徴は、広大な天板を軽やかに支える角度のついたテーパー脚と、それを補強するステンレススチールのブレースです。オークやチークの無垢材が持つ温かみと、ステンレススチールの冷徹な質感が巧みに融合し、素材の対話が生まれています。さらに、引き出しを天板から浮遊させるように配置することで、透明感と軽やかさが表現されており、単なる作業台を超えた建築的スケールを備えています。

PP571は、ウェグナーの代表作「ザ・チェア(PP503)」に合わせて設計されており、両者を組み合わせることで空間全体に威厳ある調和をもたらします。1950年代のデンマークデザインにおける「有機的機能主義」の理想を体現し、建築家や経営者の執務空間にふさわしい存在感を放ちます。

この作品は、ウェグナーの職人としての精緻な感覚と、建築家との協働で培った空間的な視点を融合させた成果です。木材とスチールという異なる素材の調和は、彼の創造力の柔軟さと探究心を示すものであり、PP571はまさに「機能的彫刻」と呼ぶにふさわしい傑作です。

今日においても、PP571は受注生産によって少数のみが製作されており、職人の高度な技術によって一点ごとに仕上げられています。その存在は、デニッシュ・モダンの黄金期が遺した理想を現在に伝える文化的モニュメントであり、家具を超えた芸術的価値を持ち続けています。

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