Svend Saabye | スヴェン・サービュ


Story

スヴェン・サービュ(1913-2004)は、デンマーク近代美術における多才な存在として知られています。彼は画家として自然主義的な表現から出発し、やがて色彩豊かで抒情的な抽象主義へと展開しました。その作品はリズム感と構成力にあふれ、音楽活動から得た経験が絵画表現に大きな影響を与えています。

彼は絵画だけでなく、公共建築物の装飾や記念碑的な壁画の分野でも活動しました。特に、フレゼリクスベアのコーダンフスのフレスコ画や、コペンハーゲンのリグスホスピタレットにおける大規模なコンクリートレリーフは、建築空間と調和する芸術として高い評価を得ています。

また、彼はスポーツフィッシングへの情熱を作品や著作に反映させました。『Fisk og flue』や『Lystfiskerliv』といった書籍は、自然との深い関わりを示すものであり、彼の作品に繰り返し登場する動植物のモチーフはその体験から生まれています。

さらに、フューネン島の芸術家団体「Germinalen」の創設メンバーとして活動し、伝統的な自然主義を打ち破る新しい芸術潮流を育てました。このグループでの活動は、彼をデンマークにおけるモダニズムの推進者の一人として位置づける重要な要素となりました。

晩年には故郷で回顧展が開催され、彼の遺産はフュン美術博物館、リーベ美術館、オーフス美術館などに収蔵されています。画家として、また教育者・合唱指揮者・著作者としても活動したサービュは、デンマーク近代美術の歴史において多面的な巨匠として記憶されています。


About

Year:1913-2004
Place:Nyborg(ニューボー)、Copenhagen(コペンハーゲン)
Museum:フュン美術博物館、リーベ美術館、オーフス美術館、トラフォルト美術館


History

1913:フューネン島ニューボーに誕生
1931:教員資格を取得、音楽グループ「De 3 fra Radioen」に参加
1932:オデンセのテクニカルスクールで学ぶ
1933:P. ロストラップ・ボイエセンに師事
1935:「Kunstnernes Efterårsudstilling」に初出品
1939:王立デンマーク美術アカデミーで学ぶ
1942:合唱団「Weekendhyttens kor」の指揮者を務める
1949:国営放送合唱団の指揮を担当
1952:著書『Fisk og flue』『Lystfiskerliv』を出版
1956:フレゼリクスベアのコーダンフスにフレスコ画を制作
1958:「Svend Saaby-koret」を設立し指揮者を務める
1964:リグスホスピタレットにサンドブラストコンクリートの装飾制作を開始
1968:同プロジェクトを完成
1974:リグスホスピタレットの追加装飾を手掛ける
1981:著書『Lystfiskerliv』の新版を刊行
1980年代:自然を題材にした抽象作品を多数制作
1990年代:国内の美術館で回顧的展示が開催される
2003:フュン美術博物館で特別展「自然を音叉として」が開催
2004:コペンハーゲンで逝去


Works

・Seascape with swans
・Still Life with Bottle
・Landscape from Funen
・Street in Provence | プロヴァンスの村の通り
・Abstract Composition with Blue
・Composition with Red and Yellow Fields
・Fresco at Codanhus | コーダンフスのフレスコ画
・Concrete Relief at Rigshospitalet | リグスホスピタレットのコンクリートレリーフ
・Portrait of a Woman
・Fishing Scene | 釣りの情景
・Autumn Landscape | 秋の風景
・Birds in Flight | 飛翔する鳥
・Still Life with Flowers | 花の静物画
・Abstract Rhythm | 抽象的リズム
・Composition with Green | 緑のコンポジション
・Funen Landscape with River | フュン島の川の風景
・Harbor Scene | 港の情景
・Winter Landscape | 冬の風景
・Abstract Field with Zigzag | ジグザグの抽象画
・Floral Abstraction | 花をテーマにした抽象

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