About
Designer: Ole Wanscher(オーレ・ヴァンシャー)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1950s
Material: Teak, Beech
Size: W125 × D70 × H80 × SH44 cm
Story
FD109/2ソファは、オーレ・ヴァンシャーが設計した「Senator」シリーズの一部として1950年代に発表されました。直線的で端正なフォルムは、彼が掲げた古典的ミニマリズムを体現しており、戦後の家庭に適した軽快で機能的なデザインを特徴としています。
背面がスラット式のオープンバックで構成され、部屋の中央に置いても美しく見える点は革新的でした。細身でわずかに外傾する脚部は、軽やかさと安定感を両立させ、当時の小規模な住空間にも自然に調和しました。
製造を担ったのは、工業化を牽引したFrance & Daverkosen(後にFrance & Son)であり、彼らは輸出を見据えて効率的な大量生産を実現しました。FD109/2も分解輸送を前提とした設計を備えていたとされ、北欧デザインの普及に重要な役割を果たしました。
フレームには高級感のあるチーク材が用いられましたが、一部の個体ではコスト効率を考慮し、ビーチ材にステイン加工を施したバリエーションも存在しました。内部にはスプリングと高密度フォームが組み込まれ、快適性と耐久性を兼ね備えています。これは、同社がマットレス製造に起源を持つ背景を反映したものです。
その後、France & SonはCADOに引き継がれ、さらにP. Jeppesens Møbelfabrikによっても製造が続けられました。FD109/2は数十年にわたり生産され、工業的合理性と古典的デザインが融合した象徴的なソファとして、現在もデンマーク・モダンデザイン史における重要な位置を占めています。